杖もて示す噴煙をかたかごを 仲寒蟬

「かたかご」は片栗の花のこと。山林の半日蔭や斜面に自生し、3月頃、茎の頂に紅紫色の花を下向きにつける。

掲句は、野に遊ぶ作者のさり気ない動作に、春を迎えた喜びや解放感が感じられる作品。遠景の火山が上げている「噴煙」と、足元の「かたかご」を並べたところに、春の山野に一日憩うのびやかな気分が出ている。「噴煙」といっても、人の生活を脅かすようなものでないことが想像される。『俳句』2024年4月号。


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