プレート上双六の賽転げても 高野ムツオ

「双六」は正月の室内遊戯の一つ。江戸時代から一般的になった絵双六では、サイコロのでた目の数だけ駒を進めて、先に上がった方を勝ちとする。

掲句は、双六のサイコロがどこに転がっても、そこがプレートの上だと詠む。地震は、地下にあるプレートのズレによって起こる。地震国である日本の付近では、太平洋プレート、フィリピン海プレート、ユーラシアプレート、北アメリカプレートの4枚のプレートがぶつかり合っているという。地震はいつ起こるか分からない。正月に双六に興じている最中にも、揺れが起こるかも知れない。〈プレートの上で日々生活しているのだから、誰も地震から逃れられないよ、そこで正月遊びに興じている君たちも。〉と呼びかけているような意味合いを、この句から感じ取ることができる。『俳句』2024年4月号。


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