春陰は曇りがちな春の天候をいう。同時期の季語「花曇」「鳥曇」より暗く重いニュアンスがある。
掲句は身辺で見聞きしたことを契機にした作品。近所の家が壊されてさら地に戻る光景は珍しいものではない。家が壊されるのと同時に庭木が掘り返されたり、塀が取り払われたりして、あっという間にただのさら地になってしまう。元に戻っただけともいえるが、人間の営みが跡形もなく消えてしまうところは、一抹の寂しさを伴う光景だ。「春陰」という季語が、その時の私の心の中を言い当てているように思えた。平成31年作。
kknmsgr
Δ