「春愁(しゅんしゅう)」は生気の溢れる春だからこそ覚える物憂い哀愁であり、軽いぼんやりした憂鬱な感覚であり、そこはかとない愁い、哀しみである。「春愁(はるうれ)い」ともいう。
掲句は、素干しの小エビを眺めていて、ふと、その黒いつぶつぶの目に、生の痕跡を感じ取ってできた作品。素干しにしたエビは、炒め物、煮物などの料理の脇役として欠かせないが、小さなエビのそれぞれに黒い目が二つずつあることに改めて気づいたとき、一匹一匹の生と死に思いが及んだ。生きていたときの形のままに素干しになっているエビの哀しみが、胸をよぎった。平成22年作。