落城のその後の月日水草生ふ

「水草(みくさ)生ふ」は、春になって水が温み、様々な水草が生えてくること。菱、河骨などの水生植物は、冬の間に茎や葉は枯れてしまうが、水底の根が冬を越し、春になると再び芽を出す。

掲句は石神井公園内にある石神井城址での作品。室町時代中期の1477年、豊島氏は太田道灌から城を攻め落とされたため、城を捨てて逃亡したという。落城の際には、城主の娘の照姫が三宝寺池に身を投げたとも伝えられている。三宝寺池の辺に落城の事跡を刻んだ碑が残されていて、池には睡蓮が硬貨ほどの小さな葉を浮かべていた。落城から経過した五百年余の歳月を思い、幾多の武将たちのその後の運命を思い、春が動き始めた現前の水草に目を落とした。平成29年作。

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