地震の夜の空け白みつついたちぐさ

「いたちぐさ」は連翹(れんぎょう)の古名。仲春の頃、葉に先立ち、黄色の筒状花を群がり咲かせる。

掲句は就寝中に「地震(ない)」で目が覚めた後、どこかに不安を抱えたまま浅い眠りの夜が明けてきたときのことを句にしたもの。夜半にひと揺れあった後、幸い余震はなく何事もなく夜が明けてきた安堵感が、折りから庭先に咲いていた連翹の明るさに重なった。連翹には、大地に根差して咲く花のもつ明るさがある。令和5年作。

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