俳句で「花」といえば桜の花のことだが、特定の植物を指す「桜」より、より豊かなイメージの広がりがある言葉だ。
掲句の「花びら」も、特定の桜の花びらというより、作者の心眼が捉えた花びらだろう。折から平成19年に逝去した飯田龍太の七回忌に当たる年である。空深くから「花びら」や「言葉」が降ってくるとの感受に、師龍太への追慕の思いが感じられる。天上で開かれている花見の宴を想像したくなる。2023年作。『橡の花』所収。
kknmsgr
Δ