白鳥の喉しんじつはずきずきす 瀬戸優理子

「白鳥」はカモ科の水鳥。日本で越冬する白鳥は、オオハクチョウとコハクチョウの二種類。いずれもロシアのツンドラ地帯等で繁殖し、日本の北海道や本州の一部地域で越冬する。

掲句は白鳥の美しい姿ではなく、クワッ、クワッと鳴き声を発する喉に焦点を当てた作品。通常目に映るのは白鳥の優美な外面の姿だが、掲句からは、白鳥の喉のグロテスクな映像が自ずから思い浮かぶ。この句は、「白鳥の喉」の後に切れがあるものとして読みたい。したがって、「しんじつはずきずきす」との措辞は、白鳥のことを言ったものではなく、この世の真実一般のもつ心象的な痛みを表現しようとしたものだ。「ずきずきす」には、これまで半生を生きてきた実感が込められているようだ。『文藝春秋』2024年3月号。


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