晩秋から冬にかけて、落葉樹はすべて葉を落とす。梢から離れた葉は、風に吹かれて舞い、あるいは音もなく地上に散り敷く。
掲句は、映画 や演劇、オペラなどの催しが果てた後の劇場前の情景を詠んだもの。催しが終わり、演劇などの余韻を胸に宿しながら、解き放たれたように帰宅を急ぐ観客たち。折からの街路樹の落葉が、彼らに降りかかる。「劇場が人解き放つ」と、劇場を主語にして表現したところが、晩秋初冬の夜の都会の雰囲気を彷彿させる。『俳句』2024年2月号。
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