夏には青々と葉を広げていた芭蕉も、冬になると葉がぼろぼろに枯れ、見る影もない姿となる。しかし、地下茎は枯死することなく越冬し、春先になると新しい茎と葉を出す。
掲句は、「枯芭蕉」の蕭然と枯れ尽くした姿の中に、生きる「意志」を汲み取った作品。葉は枯れてだらりと垂れ下がっても、茎は直立のまま立ち続ける芭蕉。作者はその姿から「真つ直ぐに立つ意志」を掴み取った。そして、それは作者自身の志(こころざし)の反映でもある。対象に向けられた観照の深さの賜物だ。『俳句界』2024年1月号。
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