瓢(ふくべ)はヒョウタンのこと。夕顔の変種で、小形の千成、中形のだるま、大形の太閤など多くの品種がある。果肉を腐敗させて中空にして、酒器などの器にする。
掲句は、眼前の大瓢から奪衣婆(だつえば)の笑顔を想起した俳諧味のある作品。奪衣婆は、三途の川で亡者の衣服を剥ぎ取る老婆の鬼。地獄絵図に登場し、胸元をはだけた魁偉な容貌。日頃は気難しい奪衣婆も、時には笑うことがあるのだろう。「笑顔」というからには、気味の悪い薄笑いなどではなく、満面の笑みが想像される。『俳句四季』2023年12月号。
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