芭蕉の推敲(25)

嚙み当つる身のおとろひや海苔の砂 芭蕉                          元禄4年作。初老を過ぎた者に共通の体験と心理を詠んだ作品。当時48歳の芭蕉は同年3月末まで故郷伊賀に逗留していた。海苔に混じっていた砂を噛み当てたときの何とも言えない嫌な感触を、衰老の嘆きに結び付けている。

衰ひや歯に喰ひ当てし海苔の砂 芭蕉                              元禄5年刊行の車庸編『己が光』には、この形に推敲された。上五で「衰ひや」と老いの感慨を端的に表出した後、中七下五で歯の一瞬の感覚に集中した具象的イメージを提示した。

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