栗名月歩きて誰も明日知らず 髙岡周子

陰暦9月13日の夜の月を「後の月」といい、枝豆や栗を供えるので「豆名月」「栗名月」ともいう。秋が深まる頃であり十五夜の華やかさはないが、その冷え冷えと寂びた雰囲気を楽しむ。

掲句は栗名月の夜、月明かりに誘われて外をそぞろ歩いているところ。名月を楽しみながら歩いている人の誰もが、明日のことは知る由もない。誰にも不意に訪れる死ということを思うのは、晩秋の澄み切った月光の故だろうか。『俳句四季』2023年11月号。


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