獺祭忌(だっさいき)は正岡子規の忌日のこと。明治35年9月19日、35歳で没した。写生を基本的な方法として俳句、短歌、文章の革新運動を展開したが、亡くなる数年前からカリエスが悪化して病臥の状態だった。
掲句は、東京という都会の印象を大掴みに無味、無臭と捉えた。わき目もふらずにそれぞれの通勤先、通学先へ急ぐ人々。隣室に誰が住んでいるのか分からない生活。頭上にそそり立つ高層ビル。あちこちに設置されている防犯カメラ。24時間営業のコンビニ。確かに無味無臭というのは東京の一面だろう。明治の世しか知らなかった子規がこの光景を見たら何と思うだろうか。『俳句四季』2023年11月号。