蠅取リボンは蠅を捕まえる器具の一つで、粘着紙に誘引剤を塗布したものを垂らして蠅を捕らえる。最近は蠅も蠅取リボンも見かけなくなったが、酪舎などでは今でも使われているようだ。
掲句は、「蠅取リボン」という季語を効果的に用いて、田舎町の中華料理屋の雰囲気を描き出した。夫婦二人でやっている駅前の古びた店に一人隅の方に席を占めた作者。だが、注文したチャーハンは中々出てこない。別に急ぐ用事もないので、無聊のまま、天上から垂れている蠅取リボンを眺めている。誰もが見聞きすることを一句に仕立てた作者の瞬発力を感じさせる。『俳句』2023年11月号。