梟の戻りきらない顔の位置 千野千佳

梟は夜行性の猛禽で、小動物、昆虫などを捕獲する。耳には羽毛がかぶっていて見かけ上は見えないが、ネズミ・モグラなどの動きを察知する耳は発達している。夜、ゴロスケホーホーという鳴き声でそれと知ることが多い。

掲句は、動物園の檻に飼われているフクロウを詠んだもの。昼は微睡んでいることが多いフクロウだが、ときには首を回して周囲を見渡すことがあるのだ。ところが、このフクロウは、顔の位置が元に戻りきらずに斜めを向いたままだという。詠んでいるのはただこれだけのことだが、少し不気味で愛嬌のあるフクロウの姿が見えてくる。『俳句』2023年11月号。


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