みの虫もみみずも鳴いて子規忌なり 村上喜代子

正岡子規は明治35年9月19日に死去した。享年35歳。今なお、子規の遺した著作を読むと、子規という人が持っていた熱量が読む者にひしひしと伝わる。

掲句は「みの虫」や「みみず」を登場させて、子規を偲んでいる作品。俳句では蓑虫も蚯蚓も鳴く生き物とされ、「蚯蚓鳴く」「蓑虫なく」(いずれも秋季)などという。空想的な季語とはいえ、100年以上前に亡くなった子規に対する追慕の思いに加え、子規亡き世の寂寥感もそこはかとなく感じ取れる作品。『俳句』2023年11月号。


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