つくつくしは法師蝉のこと。ツクツクホーシとの鳴き声からきた呼び名。八月下旬、秋の気配が濃くなる頃鳴き始める。
掲句は鳴きしきる法師蝉の声の中で亡き母を追懐している作品。「つくつくし」のリフレインが、法師蝉の盛んな鳴き声を想像させ、却って作者の独り心を浮かび上がらせる。亡くなった母は二度と還って来ない。簡明な表現だが、一読訴えてくるものがある。『俳壇』2023年11月号。
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