暑い夏だからこそ涼を求め、涼に敏感になることから「涼し」は夏の季語。暑さの中で涼しさを求めるのは人間に限らない。
掲句は夏の最中の猫の動きが見えてくる作品。猫は夏の暑い最中は、日差しを避けて涼しい木蔭や家の陰などに憩っている。飼い主である人間や他の猫に気を遣わずに、自分が居たいところにいる、というのが猫の習性だ。「つと」はある動作を素早く、又はいきなりするさまを表す擬態語で、何物にも束縛されない猫の姿を効果的に描き出す。さらりとした描写だが、暑中の猫の姿が生き生きと表現されている。作者は猫好きの人に違いない。『俳句』2023年10月号。