白玉やこの商談は駄目らしく 西村麒麟

白玉は喉越しがよく見た目が涼し気な夏の食べ物。白玉あんみつ、白玉ぜんざいなどは、甘味処の定番メニューだ。

掲句は和風喫茶や甘味処での光景を切り取った作品。店内で向かい合って白玉を食べながら商談しているらしい二人連れの客。隣の席で彼らの話を聞くともなく聞いていると、態度や話ぶりから、この商談が駄目らしいことが赤の他人の作者にも分かったという。スナップショットのような軽い作品だが、その軽さが白玉の趣とどことなく照応していて面白い。『文藝春秋』2023年9月号。


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