迷いなき脱皮の裂け目星涼し 瀬間陽子

「星涼し」は「夏の星」の傍題。暑い夏だからこそ、夜空に光を放つ星に涼しさ求める。

掲句の脱皮した後の抜け殻は、蝉やバッタなどの昆虫だろうか、それとも蛇などの爬虫類だろうか。いずれにしても作者はその「脱皮の裂け目」に、脱皮して生まれ変わろうとするその生き物の意志を見たのだ。「迷いなき」との主観を含む措辞に、作者のこの生き物に寄せる思いが表れている。涼気の中の星々も、地上の生き物の脱皮を、天上から見守っているようだ。『俳句四季』2023年8月号。


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