雨蛙跳んで濃くなる青世界 江中真弓

雨蛙は無尾目アマガエル科の小形の蛙で、葉や草の上に棲む。皮膚の色が、周りに合わせて緑や灰褐色に変わる。雨が近づくときなどによく鳴く。

掲句は、瑞々しい草木の緑の中の雨蛙を描き出す。とはいえ、句の焦点は「雨蛙」よりも「青世界」にあり、「雨蛙」は「青世界」に精彩を加えるための点景と言っていい。草木を濡らして時折通り過ぎる雨の音も聞こえてきそうな作品だ。『俳句』2023年8月号。


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