五月雨や夫の死わが心の死 仙田洋子

五月雨(さみだれ)は、旧暦五月頃に降る長雨のこと。丁度田植えどきであり、我々の生活に深く結びついている雨である。雨が降り続くことは鬱陶しくもあるが、雨に濡れた草木は日々繁茂し、いよいよ緑を深めていく。

五月雨の最中、夫(つま)の死を独り悼んでいる。最も身近だった人の死が作者の心にどれ程の悲しみ、嘆きをもたらしたのかは、「夫の死わが心の死」との端的な措辞が語っている。夫の死はすなわちわが心の死だというのだ。「死」のリフレインのモノローグが、誰とも分かち合えない作者の孤心と悲しみを伝える。『俳句』2023年8月号。


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