雲消えて空ひろくなる豆ごはん 藤本美和子

豆ごはんは、剥いた豌豆(グリーンピース)を炊き込んだご飯。真っ白なご飯に交じる鮮やかな豆の緑 を眺めながら豆ごはんを口に運ぶ。人間に与えられた楽しみの一つだ。

掲句は、豆ごはんから、庭前の木々の初々しい緑と木々の間にひらける初夏の青空を想像したい。「雲消えて空ひろくなる」とは平明だが、決して平凡な把握ではない。今まで浮かんでいた群雲がとこかへ流れ去った後、広々とした空が残されたのだ。夕餉どきの広々とした空は、ゆっくりと暮れてゆく。『俳壇』2023年8月号。


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