戦止まずよ箱庭に夜が来る 大木あまり

箱庭は、箱や鉢に小さな木や人形のほか、橋や船などのミニチュアを配して、山野や庭園などの絵画的な光景を模擬的に造り、楽しむもの。暫くの間だけでも、日々の暑さを忘れることができそうだ。

掲句はウクライナ侵攻などの近年生起している戦火を念頭に置いての作品。箱庭という別天地は、戦争が止まない社会の現実とは対極にある世界だ。そして、別天地に遊んでいるからこそ、却って、今もなおこの地球上で行われている戦争の無残さを想起させるといえる。「戦止まずよ」の末尾の間投助詞「よ」に、依然として戦争が止まないことへの作者の嘆きを聞きとめたい。『俳壇』2023年7月号。


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