柳絮(りゅうじょ)は柳の雌花が実を結んで熟し、白い綿毛で覆われた種子となったもの。柳の絮。その散るさまを「柳絮飛ぶ」「柳絮舞ふ」などと表現する。晩春の季語。
掲句は、柳絮が風に舞い飛ぶ「柳絮ふぶき」の奥に踏み入った人が、誰も戻って来ないという。そこにある空虚感、喪失感は遺されたものの心情だろう。単に「柳絮とぶ」「柳絮舞ふ」ではなく、より激しく「柳絮ふぶき」と表現しなければならなかった作者の内面の衝迫を思う。『俳壇』2023年7月号。
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