宵祭(宵宮)は、祭の前夜から祭神が来臨するため、前夜に行われる祭儀のこと。本祭の準備、予行演習との意味合いもある。普段は忙しない日常を送っている祭衆の気持ちが、宵祭を経て徐々に祭のモードになる。本祭より人出は少なく、山車や神輿をゆっくりと見て回れる楽しみもある。
掲句は宵祭の情景を詠んだ作品。お揃いの半纏や法被は祭衆が身に着けて祭の気分を盛り上げるものだが、小休憩の時などに、薄着になる心地よさから、祭衆が境内の樹の枝などに脱ぎ掛けて憩っているのだ。宵祭のもつ寛いだ気分と夜風の心地よさが感じられる一句。『俳壇』2023年7月号。