天上も地上もひとつ花吹雪 奥名春江

花吹雪の中に立つと、その束の間の美しさに目を奪われるとともに、今年の桜ももう見納めだと思う。とどまらぬ月日の流れの中で齢を加えていくわが身を振り返る。

天上は人間界の上にあり、最上の果報を受ける者が住む清浄な世界だという。端的にいえば、死後の魂が憩う世界、今は亡き肉親や知友が住む世界だ。一方、地上は我々が現に住む世界。花吹雪の中にいて、作者は亡き人々を身近に感じている。それは、いつか来る自らの死を身近に感じることでもある。花吹雪には、確かに人をそうした思いに誘うところがある。『俳句』令和5年7月号。


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