花吹雪は風に舞い飛ぶ花びらを吹雪(ふぶき)に譬えた言葉で、落花の傍題。
掲句の胸奥を過ぎてゆくものは、作者がかつてみた花吹雪の残像だろう。花吹雪はそれ自体が日本人の美意識に訴える美しい現象であり、散り急ぐ今年の桜を惜しむ思いと行く春を惜しむ思いが交錯する。過ぎてゆくものは花吹雪のみではない。作者の経てきた月日そのものである。『俳句』令和5年7月号。
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