「新緑」は、夏を迎えたばかりの初々しい若葉の緑のこと。この言葉には、夏の到来を告げる清新さとその中で生きる喜びがある。当初感じられた木々の緑の溌溂とした新鮮さは旬日で薄れてしまうのだが・・・。
掲句は、瑞々しい新緑の中で、「海を知らざる猫」を抱いているという。内陸の地方で育った猫が海というものを知らずに生き、そして死んでいくということに、作者は愛おしさを感じている。新緑という生命力あふれる季節が、作者を海辺への旅に誘っているのかも知れない。『俳句』2023年6月号。
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