「蓬摘」は「摘草」の傍題。夏には繁茂して猛々しい姿になる蓬だが、春、土手や田圃の畔などに萌え出た姿は可憐だ。蓬を摘んでいた指先には、摘んだ後も香しい匂いが残る。春の大地の命が凝縮したような匂いだ。餅に搗き込むと、空よりも鮮やかな真っ青な草餅ができあがる。
掲句は、「蓬摘」をしていて、指先が勝手に動いてしまう忘我の状態を句にした。自然に溶け込んで時の経つのも忘れる至福の時間がそこにはある。『俳壇』2023年4月号より。
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