茅(ちがや)は、日本全国の日当たりのいい野や川原に生えるイネ科の多年草。3~4月頃、銀白色の花穂を伸ばす。この「茅花」がほころびて絮状になる頃に吹く南風のことを「茅花流し」といい、初夏の季語になっている。梅雨の先触れとなる季節風だ。

茅(ちがや)は、日本全国の日当たりのいい野や川原に生えるイネ科の多年草。3~4月頃、銀白色の花穂を伸ばす。この「茅花」がほころびて絮状になる頃に吹く南風のことを「茅花流し」といい、初夏の季語になっている。梅雨の先触れとなる季節風だ。

「蜂」の多くは集団で生活し、女王蜂、働き蜂など、集団の中での役割が決まっている。また、その生態は、蜜や花粉を目当てに花にくるもの、他の虫を捕食するものなど様々だ。
掲句は、花々を巡って集めてきた蜜を移し合う蜜蜂の口吻の辺りを、クローズアップしたような作品だ。通常は、野外を歩いていても、そのような微細な部分に目を止めることは少ないが、この句では、拡大鏡を覗いたときのように、蜂の舌が「ぬらぬら」と動いて蜜を移し合う様が、読者の目に見えてくる。「ぬらぬら」との擬態語が臨場感をもたらしている。『俳壇』2023年5月号より。
中国原産のアヤメ科の多年草。古い時代に渡来したものが野生化した帰化植物で、日本各地の山野で見られる。谷川沿いの木陰などやや湿った半日陰を好む。一日花で花の寿命は短いが、花数が多く次々に開花する。「胡蝶花」という別名は、この花の、蝶の群がり舞うような印象から名付けられたという。朝の湿りの中で、この花も目覚めたばかりの風情。

単に「鵙」といえば秋の季語だが、春の営巣期に雌に求愛する鵙は、天地に向かってやさしく呼びかけるような声で鳴く。秋晴れの澄みわたった大気を貫く鵙の声とは趣が異なる。秋の高鳴きは鵙の縄張り宣言であり、越冬して春になると、自らの縄張りに留まったまま営巣期・繁殖期に入っていく。
郊外で、風の彼方にやさしく呟くような「春の鵙」の声を聞いて、春の訪れを感じたことが契機になってできた一句。冬の間は天地も風も草木も、それぞれ孤立して厳しい様相を呈していたのだが、いつしか、自然の万物も人間も相互に親しみ合う季節に入ったのだと思った。平成25年作。
全国の山地や庭園に見られるエゴノキ科エゴノキ属の落葉高木。5~6月に純白の花が長い穂になって垂れ下がる。その花の様子を白雲に見立てたのが和名の由来。「えごの花」は歳時記に仲夏の季語として掲載されているが、同科同属の「白雲木」もほぼ同時季に咲くので、仲夏の季語として扱っていいだろう。「えごの花」と同様に、この季節の印象そのままの清潔感のある明るい花だ。
