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俳句の庭

  • 摘草の顔を起こせば武甲山聳つ

    3月 27th, 2023

    「摘草」は、春、野に出て蓬、芹、土筆、蒲公英などを摘むこと。「野遊」「踏青」などと並んで、春の季語になっている。食材として、蓬や土筆を摘む機会は、一般的には減ってしまったが、屋外で春の解放感を満喫することができる。取り立てて目的もなく、地面に萌え出たばかりの蓬を摘んで、やわらかな風の中で指についた匂いを嗅ぐ。佳き季節の到来を実感する一瞬だ。

    かつて気ままに「摘草」をした時のことを思い浮かべながら、掲句を最初にノートに書き留めたときは、別の山の名だった。ある時ふと思い付いて「武甲山」(ぶこう)に書き替えた。「武甲山」は埼玉県秩父地方の山で、秩父盆地の南側に聳つ。身近にあるこの山に対する愛着が、この句の根っこにあるのかも知れない。「郭公」の井上主宰には、「その地に暮らす人の意志的な思いが籠められているだろう。」と鑑賞していただいた。令和3年作。

  • 連翹(れんぎょう)

    3月 26th, 2023

    春咲く花には黄色の花が多い。立春を過ぎると三椏、山茱萸が先駆けて咲き、続いて黄梅、連翹れんぎょう、山吹など。その中でも花の盛りの連翹の鮮やかさは格別だ。川沿いの桜を眺めつつ歩いているときなど、連翹が目に入ると、旧友に会ったときのように、ほっとした気分になる。桜で冷え冷えとした目と心が和む。夕暮どきにいつまでも暮れ残っているのもこの花だ。連翹を眺めていると、なぜか父母が存命だった頃のことが思い出される。

    下の写真は庭に咲いた連翹を撮ったもの。小雨が降り続く日だったので、やや沈んだ色合いに撮れた。

  • 踏み入りし土の弾力雲雀東風

    3月 26th, 2023

    今年も、町を出はずれると、雲雀の声が聞かれる季節になった。雲雀には、広々とした大きな空がよく似合う。と言っても、近年は、郊外を散歩していても、雲雀を見かけることは大分少なくなった。人間の活動が郊外の土地の隅々にまで及んで、雲雀の生息する余地が減ってしまったのだ。残念なことである。

    掲句は、長野の野辺山高原での作品。標高1400メートル。雲雀の声に誘われて道路脇の牧場に踏み入ると、足の裏に応えてくる土の弾力に、春の到来を感じた。冬の間雪に覆われていた地面も顔を出して、たっぷりと日差しを浴びている。そろそろ農作業が始まる時季だ。廣瀬直人主宰が『白露』誌上で褒めてくれたことが今でも忘れられない。平成8年作。『河岸段丘』所収。

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