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俳句の庭

  • 我が影の中に納まる蝌蚪の国 岩田由美

    5月 30th, 2023

    「蝌蚪(かと)」は、蛙の幼生。お玉杓子ともいう。卵から孵った後、暫くの間は無数にかたまっているが、成長に従い、尾や手足を使って泳ぎ出す。

    掲句の「蝌蚪の国」は、水底を覗き込んだとき、無数の蝌蚪が「国」と呼べるような一つの社会を形成しているように見えることをいう。その「蝌蚪の国」も、我が影の中に納まってしまう程の小さな存在に過ぎない。そして、人間も、天地を司る神の目から見たら、この上なく微小な存在である。作者にとって、この世に存在するということの不思議さを感得した一瞬だったのだろう。『俳句』2023年6月号。

  • 釣れずともよし鶯の谷渡り 森岡正作

    5月 29th, 2023

    「鶯」(うぐいす)は日本の三鳴鳥の一つで、春になると山から里に現れて美しい声で鳴くため、古来から、春を告げる鳥として親しまれてきた。警戒心が強く、羽の色も地味なため、声が聞こえても姿を見る機会は少ない。鳴き声としては、ホーホケキョと聞きなす囀りのほか、ケキョケキョケキョと続けざまに鳴く「谷渡り」といわれるものがある。「谷渡り」は繁殖期のオスが出す声の一つで、メスに危険を知らせたり侵入者や外敵を威嚇する意味をもつという。

    掲句は、釣果を求めないとの句意に加えて、そのゆったりとした声調が、渓流釣りの醍醐味を感じさせる作品。釣り場を定めて糸を垂れると、折から聞こえる「鶯の谷渡り」。清流の響きや森の匂いに溶け込んで過ごす釣りの一日に、作者の心は伸び伸びと解放されるのだろう。『俳句』2023年6月号。

  • 迎へ梅雨

    5月 29th, 2023

    「走り梅雨」ともいう。5月下旬から6月上旬にかけて、本格的な梅雨に入る前に、本州南岸に前線が停滞して梅雨めいた天候になることがあり、その頃のこと。通常は迎へ梅雨の後一旦天気が回復し、しばらく晴天が続いてから本格的な梅雨に入ることが多い。

  • 夏

    5月 28th, 2023

    春夏秋冬のうちの夏は、二十四節気の立夏から立秋の前日までの期間。夏の前半は梅雨に当たるため雨が多く、梅雨の明けた頃から猛暑が続く。涼風や清水、木陰、水泳、氷菓など、生活の中で束の間に感じられる涼気は、夏の楽しみの一つだ。

  • 明治の和綴昭和のざら紙黴の中

    5月 28th, 2023

    「黴」(かび)は、菌類のうち茸にならないものの総称。梅雨を始めとして夏の高温多湿の状態では、食物や書籍、衣服などあらゆるものに黴が発生する。我々は、生活空間の様々なところで黴を目にする。放っておかれて黴びないものはない。

    掲句は、職場から派遣された研修で明治以来の古文書を目にする機会があり、その綴じ方や紙質に時代の推移を感じてできた作品。明治時代の文書が、日本伝統の和綴じで端正に仕上げられていたのに対し、昭和初期や戦時中の文書が、劣悪なざらざらした紙を用いていて、劣化著しいのを目の当たりにしたのだった。下五の「黴の中」は、無慈悲で容赦のない月日の経過を表そうとした。平成14年作。『河岸段丘』所収。

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