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俳句の庭

  • 種馬におし黙りたる男かな 野中亮介

    7月 5th, 2023

    「種馬」は 種つけ用の牡馬で、「獣交む」(春季)の傍題。家畜の馬や牛は、野生の獣らに比べると発情期は不明瞭だが、春に種付けが行われることが多い。

    掲句の種馬は、競走馬の繁殖のための牡馬だろう。種馬の多くは現役時代に活躍した馬で、種付け時には多額の種付け料がかかるというが、その世話をしたり、種付けのために馬を誘導したり、人工的に管理された中で種付けを行ったりと、日々行われる仕事は地味ものだ。作者はその作業に当たっている一人の朴直な男に目を止めた。〈山賤のおとがひ閉づる葎かな 芭蕉〉を思わせる風趣のある作品だ。『俳壇』2023年7月号。

  • 蒲の穂

    7月 4th, 2023

    蒲(がま)はガマ科の大形の多年草で淡水の湿地帯に生える。日本全国の池、沼、川の岸辺などの浅い水辺に自生。円柱形の茎が直立し、高さは1~2メートル。雌雄同株で、盛夏に、茎の先端近くにロウソク形の花穂をつける。その上部は黄色の雄花穂、下部は緑褐色の雌花穂。花が終わると雌花穂だけが赤褐色となり残る。秋になると、穂がほぐれて風によって飛散する。蒲の絮は秋の季語。

  • 山牛蒡の花

    7月 4th, 2023

    山牛蒡(やまごぼう)はヤマゴボウ科の多年草。名は、山に生えるゴボウの意で、根が似ていることからついたもの。中国原産で、古くから日本に渡来し、根が利尿剤になるので栽培されていたこともあるが、今は野生化している。仲夏の頃花茎を伸ばして総状に白い小花を密に咲かせる。秋になると、実は黒紫色に熟す。明治以降日本に渡来した北米原産のヨウシュヤマゴボウも類縁種。郊外などで見かけるのはヨウシュヤマゴボウの方が圧倒的に多い。

    下の写真は川べりで見かけたヨウシュヤマゴボウ。

    下の写真は、8月中旬に撮ったヨウシュヤマゴボウ。既に実が熟している。

  • ボート

    7月 4th, 2023

    川や池などに浮かべて、オールで漕ぐボートをいう。多くは貸しボート。家族連れ、友達、恋人たちがボートを操るのは、当人たちにとって楽しい夏のひと駒であり、岸から見ていても、夏らしい眺めだ。キャンプや水遊びなどとともに、開放的な夏に相応しい行楽の一つ。なお、ボートレースは春の季語。

  • 柳絮ふぶきの奥より誰も戻り来ず 正木ゆう子

    7月 4th, 2023

    柳絮(りゅうじょ)は柳の雌花が実を結んで熟し、白い綿毛で覆われた種子となったもの。柳の絮。その散るさまを「柳絮飛ぶ」「柳絮舞ふ」などと表現する。晩春の季語。

    掲句は、柳絮が風に舞い飛ぶ「柳絮ふぶき」の奥に踏み入った人が、誰も戻って来ないという。そこにある空虚感、喪失感は遺されたものの心情だろう。単に「柳絮とぶ」「柳絮舞ふ」ではなく、より激しく「柳絮ふぶき」と表現しなければならなかった作者の内面の衝迫を思う。『俳壇』2023年7月号。

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