「春の海」の傍題。長かった冬が終わって、明るく長閑(のどか)な春を迎えた浜辺。海は陽の光を受けてきらめき、柔らかな風が頬を吹き過ぎる。

「春の海」の傍題。長かった冬が終わって、明るく長閑(のどか)な春を迎えた浜辺。海は陽の光を受けてきらめき、柔らかな風が頬を吹き過ぎる。

「枯木」(冬季)は、枯死した木ではなく、冬に葉を落として枯れたように見える木のこと。落葉樹の冬の姿だ。
掲句は、常磐木(ときわぎ)すなわち常緑樹と落葉樹の冬の姿の違いに興を感じての作品。落葉樹が葉を落とすさまは、寂寥感に一抹の華やぎの交じる晩秋初冬の明るい光景。落葉樹が何もかも捨てて裸木となってそこに立ち尽くす姿は本格的な冬の到来を感じさせる。一方、常緑樹は日々の寒気にくすんだような色合いを呈しながら、そのままの姿で冬を耐え抜く。このような木々の姿には、生き方の違いまで感じられて興味深い。令和4年作。
絡みもつれたまま枯れ果てている葎(むぐら)のこと。夏の間一面に生い茂っていた金葎や八重葎、その他の蔓草の類が、冬になると枯れて蕭条たる様相を呈する。

「春隣(はるどなり)」は冬も終わりになる頃の春の気配を捉えた季語。「春近し」ともいう。1月の下旬になると、降霜や結氷など夜から朝にかけての寒さは相変わらず厳しいが、寒さの緩む日も交じるようになる。日の光は日一日と力強さを増してくる。
掲句は、妻をアシストして自宅の厨房に立つようになってからの作品。「笹掻き(ささがき)」はゴボウなどを笹の葉のように細く薄くそぎ切ること。妻が真水に削ぎ落す牛蒡の匂いが厨房に漂っていた。健康な食欲をそそる匂いだった。いわゆる「台所俳句」に属する作品といえる。令和4年作。