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俳句の庭

  • 新季語探訪(12)

    4月 23rd, 2025

    ヨーロッパでは4月1日をオール・フールズ・デイといい、この日に限り罪のない嘘で人をかついだりすることが許される風習がある。この日に騙された人をエープリルフールという。歳時記に載っている「四月馬鹿」はその日本語訳。「四月馬鹿」といえば広くその日のこととして俳句に詠まれる。大正年間に我が国に伝わってきた。11月1日の万聖節に対して「万愚節(ばんぐせつ)」ともいう。

    手元の歳時記には、

    万愚節半日あまし三鬼逝く 波郷

    など、多くの例句が掲載されている。この句は昭和37年4月1日に逝去した西東三鬼を追悼した作品。当時定着したばかりの「万愚節」という季語を用いた即吟だろう。三鬼という人の人柄や句風も感じられ、追悼句としては上乗の出来。石田波郷という人の作句に対する瞬発力が如実に表れている一句と思う。

    上記の句の他にはめぼしい句は見当たらない。どの句も、「四月馬鹿」「万愚節」に日常の些事を取り合わせているのだが、意味ありげな表情を持つこの季語との間合いの取り方に苦労しているように見える。いずれも、意味が分かりすぎて底の浅い句か、淡々と詠んでいて面白みも味わいも薄い句である。

    西洋の風習が日本に入ってきて日本人の生活に溶け込んだものの中には、「クリスマス」「ハロウィーン」「バレンタインデー」など他にもあるが、今後俳句に詠み込むにはひと工夫もふた工夫も必要だということだろう。

  • 新季語探訪(11)

    4月 22nd, 2025

    島を覆ふ蝮起しの怒濤音 須並一衛

    この句の「蝮起(まむしおこ)し」について、飯田龍太は、「おそらく方言のひとつだろうが、・・・冬眠の蝮を目覚めさせる春雷一過」に独特の味わいがあると観賞した(昭和62年6月)。

    だが、掲句を改めて眺めると、「蝮起し」を春雷として受け止めるにはやや無理があるようだ。作者は実のところ、「蛇穴を出づ」(春季)と同様の意味でこの語を用いたのではないだろうか。春先の怒濤音に、土中で冬眠していた蝮も他の生き物たちとともに起き出して地上に姿を見せるというのだ。

    以上は龍太には珍しい誤読の例だが、北陸や佐渡などで初冬の雷を「鰤起し」ということから、そのアナロジーで「蝮起し」を雷鳴と受け取ったのだと思う。なお、「鰤起し」は11月の終わり頃、鰤が回遊してくる頃の雷のことで、漁師言葉から出た味わいのある冬の季語である。

    方言辞典などを繙いても「蝮起し」の語は地方の方言にはないようだ。恐らくは作者の造語だろう。しかし、「蛇穴を出づ」の傍題として今後この言葉を用いる余地はあろう。「・・起し」との簡潔な措辞は俳句表現に向いているともいえる。

  • 矢車(やぐるま)

    4月 22nd, 2025

    端午の節句に飾る幟の竿の天辺に取り付ける金属製の風車のこと。車輪の中に何枚もの矢羽が取り付けてあり、風を受けると、からからと音を立てて回る。「幟(のぼり)」の傍題としている歳時記もある。

  • 馬鈴薯植う

    4月 22nd, 2025

    晩春の頃、馬鈴薯(じゃがいも)の種イモを直に畑に植えること。前年収穫した馬鈴薯を保存しておいて、それをいくつかに切って種イモとして用いる。なお、サトイモは「芋植う」(春季)、サツマイモは「甘藷植う」(夏季)という。

  • 虚子の忌の手向けの花に晴れの色 星野高士

    4月 21st, 2025

    俳人高浜虚子(本名、清)の忌日は4月8日。昭和34年のこの日、85歳で没した。

    作者は虚子の曾孫に当たる人。掲句は、虚子の忌に際して仏壇や墓域に手向けた花々に、虚子に相応しい「晴れ」の色を認めたとの句意。「晴れ」とはもちろん天気がいいことだが、「褻(け)」に対する「晴れ」でもあり、表立って晴れやかなことをも意味する。円熟期以降の虚子は、俳人として「晴れ」の道を進んだといっていい。また、「晴れ」の色は、〈俳句は極楽の文学である〉との虚子の俳句観も思い起こさせる。虚子は、その著書『俳句への道』の中で、「如何に窮乏の生活に居ても、如何に病苦に悩んでいても、一たび心を花鳥風月に寄することによってその生活苦を忘れ病苦を忘れ、たとい一瞬時といえども極楽の境に心を置くことが出来る。俳句は極楽の文学という所以である」と記した。「晴れ」という虚子の生涯を集約するような一語が、一句の中で画龍点睛の働きをしている。『俳句四季』2025年5月号。

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