秋の寒冷前線に沿って起こる雷は激しい雨を伴うことが多く秋の気配を深める。「秋雷(しゅうらい)」ともいう。雷は夏に最も多く起こるので、単に「雷」といえば夏の季語。

秋の寒冷前線に沿って起こる雷は激しい雨を伴うことが多く秋の気配を深める。「秋雷(しゅうらい)」ともいう。雷は夏に最も多く起こるので、単に「雷」といえば夏の季語。

「漱石忌」は明治の文豪夏目漱石の忌日。1916年(大正5年)12月9日胃潰瘍による出血で死去した。漱石と言えば小説家としての面が偉大だが、大学時代、正岡子規と出会い、俳句を作るようになったことも知られている。
掲句は、細々と咲き続ける冬薔薇のそれぞれが、他と異なる匂いをもつことに気づいたことが契機になってできた一句。漱石は明治の文明開化の世に生きて、社会の中で個々の人がいかに己を生かして自らを全うしていくべきかを考え続けた。他者との関わりの中での個人の生き方は、古くて新しい問題だ。平成22年作。
数十本の竹や木の骨を束ねて末広状にし要の一点で固定したものに、紙、絹、レースを張ったもので、夏、扇いで涼をとるために用いる。「扇子(せんす)」ともいう。団扇(うちわ)を折り畳みにしたものであるが、団扇が寛いだ場面で使われるのに対し、「扇」はよりフォーマルな場面で用いられることが多い。長年使い慣れたものが「古扇」。

「蚯蚓(みみず)鳴く」は、秋の夜に土の中から聞こえるジーという螻蛄(けら)などの鳴き声を、昔の人がミミズの声と取り違えたことに由来する空想的な季語。発声器官を持たないミミズが鳴くことはないが、その声が聞こえるように思うところに、俳諧の趣がある。虚実さだかでないその微かな声に、秋の夜はしんしんと更けてゆく。
掲句は、平成22年8月末に角川学芸出版から発行された『井伏鱒二飯田龍太往復書簡』に収められている往復書簡400余通を順々に読みながら、その中に何通か欠落した書簡があることにそこはかとない関心を覚えての作。親愛と敬愛に満ちた両者の交友を証する書簡の数々を読み耽っていると、自ずから立ち昇ってくる交友の温もりに、私の心もあたたまる心地がした。平成22年作。