「赤のまま」は「赤のまんま」ともいい、山野や路傍に自生するタデ科の一年草。初秋の頃、小粒の穂状の紫紅色の花を咲かせる。この花をしごき取り、赤飯にみたてて、ままごとに使って遊んだことからこの名がある。
森澄雄と飯田龍太はいつも対比して論じられてきた。
白をもて一つ年取る浮鴎 澄雄 大寒の一戸もかくれなき故郷 龍太
この2句を比べるまでもなく、漂泊の思いを詩情の根底に置く澄雄と故郷への定住・土着を肯定し、そこで生涯を送った龍太のそれぞれの句風は、対極にある作品世界として意識されてきた。「赤のまま」を取り合わせることにより、生前お互いに認め合ったこの二人の作品世界がより懐かしく感じられれば幸いだ。平成28年作。