「草青む」は春さきに萌え出た草が青々としてくること。野や畦、土手などが匂い立つような草で覆われる。冬枯れの景色から一変し、春の暖かさで野山の草々が日ごとに青みを増していく。
掲句は、誰にも打ち明けられずに心に憂悶を抱えていた時期の作品。春が深まり、大地が萌え出た草々に覆われていくにつれて、独り胸に抱えている悩みが深まっていくように思われた。やや抽象的な内容なので、「草青む」が据わっているかどうかが一句の決め手だと思っている。平成21年作。『春霙』所収。
「草青む」は春さきに萌え出た草が青々としてくること。野や畦、土手などが匂い立つような草で覆われる。冬枯れの景色から一変し、春の暖かさで野山の草々が日ごとに青みを増していく。
掲句は、誰にも打ち明けられずに心に憂悶を抱えていた時期の作品。春が深まり、大地が萌え出た草々に覆われていくにつれて、独り胸に抱えている悩みが深まっていくように思われた。やや抽象的な内容なので、「草青む」が据わっているかどうかが一句の決め手だと思っている。平成21年作。『春霙』所収。
「雲雀東風(ひばりこち)」は雲雀(ひばり)が空高く舞い上がって鳴く頃に吹く東風(こち)のこと。太平洋から大陸へ吹く東風は春を告げる風であり、その時期に咲く花や動物の名を冠して「梅東風(うめごち)」「桜東風(さくらごち)」などともいう。
掲句は、野辺山高原のとある牧場風景。広いエリアに放し飼いされた牛たちが、ひと夏をのびのびと過ごしていた。親牛たちは草を食むのに余念なく、その傍らで、角が生える前の仔牛たちが頭を突き合わせてじゃれ合っていた。人と同様、仔牛にも遊び盛りの時期があるのだろう。平成20年作。『春霙』所収。
「落椿」は椿の花が丸ごと地面に落ちている様を表す。椿は花びらが散るのではなく、花ごとぽとりと落ちるのが特徴。落ちた後も、しばらく地面に鮮やかな色を保つ。
掲句は拾い上げた「落椿」の感触を詠んだ作品。椿は落ちると、日を経るにつれて水気が失われ、土色に変色し、ついには土に還ってしまうのだが、私が手に持ったとき、咲いていたときのままの色合いと潤いを保っていた。特に花びらの少し肉厚で滑らかな感触を表したいと思い、こんな句になった。平成18年作。『春霙』所収。
「蘆芽(あしかび)」は水辺に芽吹いて間もない蘆の若芽のこと。「葦の角(あしのつの)」ともいう。薄緑色で小さな角のような姿が春の訪れを感じさせる。
掲句は勤務先近くにあった日比谷公園での作品。昼休みにいつも行く公園内の水辺に佇んで、しばらくの時を過した。季節は着実に移ろい、足元の水辺にはいつしか蘆が可憐な芽を出していた。この句を読むと、当時胸の内に抱えていた悩みのあれこれが思い出される。「眼冷ゆ」は、その時水を眺めていて感じたことをそのまま表現した。平成21年作。『春霙』所収。
河津桜、寒桜などとともに、早咲きの桜の品種の一つ。通常の桜よりも早く3月中旬から自然開花する。ビニールハウスでの加温栽培によるものが、12月下旬から市場に出回り、正月飾りや早春のインテリアとして親しまれる。細い枝に薄紅色の小ぶりな花が群がり咲く。なお、歳時記には掲載されていない。
