春になると様々な木が芽を吹く。四手(椣、しで)もその一つ。初夏の頃、新緑とともに垂れ下がる黄褐色の花穂(雄花)が特徴的で、しめ縄の紙垂(しで)に似ていることから、この名がある。花に先立って、仲春の頃コナラやクヌギなどとともに芽吹く。名前のある特定の木々の芽吹きを総称して「名の木の芽」というが、「四手の芽」もその一つ。

春になると様々な木が芽を吹く。四手(椣、しで)もその一つ。初夏の頃、新緑とともに垂れ下がる黄褐色の花穂(雄花)が特徴的で、しめ縄の紙垂(しで)に似ていることから、この名がある。花に先立って、仲春の頃コナラやクヌギなどとともに芽吹く。名前のある特定の木々の芽吹きを総称して「名の木の芽」というが、「四手の芽」もその一つ。

「春」は四季の一つで、立春(2月4日頃)から立夏(5月6日頃)の前日までのほぼ90日間。草木や動物たちの活動が活発になる季節である。「春」という語には、未来が開けたような明るいひびきがある。
掲句は「リユウグウノツカイ」を食ってみたいという。当然戯れ言(ざれごと)には違いないが、そんな戯れ言の一つも言ってみたくなるところが、いかにも春である。リユウグウノツカイ(竜宮の使い)は、世界中の外洋に生息する硬骨魚類で最長の深海魚。目撃されることも稀で、海岸に現れると大地震が起きるとの言い伝えがあり、また、人魚のモデルになった魚とも言われている。そんな魚だからこそ、それを食ってみたいとの幻想が活きてくる。朦朧と立ち込める靄のように、春最中の想像力には際限がない。古くからある「亀鳴く」「蜃気楼」「逃水」などの幻想的・浪漫的な季語が、おおかた春季なのも、春という季節の一面を表しているのだろう。『俳句』2026年3月号。