俳句で「仏の座」といえば食用になる春の七草の一つで、新年の季語として歳時記に掲載されている。キク科の越年草で、標準和名コオニタビラコ。地面に葉がロゼット状に平らに広がる様子が、仏様の台座(蓮華座)のように見えることからこの名がある。沖縄を除く全国の田畑等に自生する。
一方、春になると野や田畠などで目につくのはピンク色の小さな花を咲かせるシソ科の仏の座(写真)。こちらも葉の形が仏様の台座を思わせる。別名「三階草(さんがいぐさ)」。
「三階草」は、上記の2種類の草の混同を避けるため、かつて牧野富太郎博士が提案した命名だったが、現在のところ、あまり一般に普及していないようだ。
全く異なる2種類の草に同じ名前がつけられて、それぞれが定着しているのは、作者・読者ともども不便なことである。私たちは、文脈や季節などにより、それらを使い分けていくことになる。言葉というものの不完全さを示す一例といえる。
