「小春」は陰暦10の異称。現行の新暦では11月~12月上旬頃に当たる。まだ本格的な冬とはならず暖かい日和が春先の陽気を思わせる。本格的な寒さに向かう時期の束の間の温かさに、心も体も一息つく。
掲句は自宅にいて、朝から昼にかけての時間の推移の中で「小春」を実感しての作品。隣家の屋根を越えた日差しが庭にゆきわたる頃、目白が来てひそひそと声をこぼしながら何かを啄んでいた。目白が去った後、今度は鵯(ひよ)が来て自らを主張するように喧しい声で鳴いた。それぞれ、このエリアを縄張りにしている鳥たちだ。代わる代わる庭先に来る鳥たちの声に、穏やかな「小春」の一日が動き始めるのを感じた。令和7年作。