「二月」は上旬に立春を迎え、厳しい寒さの続く中で、夕暮が遅くなり、日差しに少しずつ春が感じられるようになる頃である。梅が咲き始めるなど、一歩ずつ冬から春へと季節が移り変わる時季。
掲句には「遊行寺にて 三句」との前書きが付されている。一遍聖絵は、踊念仏で知られる一遍の生涯を描いた絵巻。旅に明け暮れた一遍の旅先は、南は九州から北は奥州江刺郡にまで及んだ。掲句は、瀬戸内や相模灘などの海を背景にした一枚の聖絵から、海の音が聞こえてきたという。本格的な春の到来が待たれる「二月」の光は、一遍上人の念仏一筋の生涯と上人に寄せる作者の敬慕の思いを明るく照らし出している。2022年作。『聖絵』所収。



