香が粘る父の生地の葱の束 

「葱」はユリ科ネギ属の多年草。中国原産とされ、古い時代に日本へ導入された。独特の香があり、汁もの、鍋物、薬味など用途が多い。多くの品種があり、深谷葱もその一つ。

掲句は過去を回想しての作品。1999年に父が亡くなった後、父の生家の義理の伯母から、しばらくの間お歳暮に毎年ネギが届いた。箱詰で送られてきたそのネギは、玄関の三和土に置かれて強烈な香を放った。その香を嗅ぐたびに、父の故郷に思いを馳せた。父が生まれ育ったのは埼玉県旧大里村(現在熊谷市)で、生家の周りは一面の稲田だが、近隣は深谷葱の産地でもあった。令和7年作。

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