素堂忌(そどうき)は江戸時代前期・中期の俳人山口素堂の忌日で、陰暦8月15日。甲州に生まれ、儒学や書道、和歌、茶道、能楽など様々な分野を学び、松尾芭蕉とも親交が深く、蕉風俳諧の成立に大きな影響を与えたといわれる。〈目には青葉山ほととぎす初鰹〉は素堂の代表句。享和元年(1716年)のこの日、75歳で没した。
掲句は、「つまみ菜」を入れた汁物を啜りながら、素堂の忌を想起しての作品。「つまみ菜」は間引菜(まびきな)ともいい、隙間なく蒔いた大根や蕪が密集して芽生えたものを、採光や通風のために定期的に間引いたもの。お浸しや汁の実などにする。秋口のささやかな食材だが、どこか俳諧に通う味わいがある。高級食材ではこのような味わいは出せない。平成11年作。『河岸段丘』所収。