「蛇笏忌(だこつき)」は俳人飯田蛇笏の忌日で10月3日。昭和37年のこの日、山梨県の境川村(当時)の自宅で亡くなった。格調高い句風で立句の名手と言われ、「雲母」を主宰した。 亡くなったのが秋のたけなわだったこともあり、蛇笏と言えば秋の俳人との印象が強い。
掲句は戸外散策中の作品。秋の気配が日に日に濃く、鵙がよく鳴いた。一羽が梢で鳴くと、少し離れた梢でも別の一羽が鳴いた。鳴く時間帯に応じて、朝鵙、夕鵙などというが、日の出の前後に鳴く鵙の晴れ晴れとした声は印象的だ。今日の好天を約束してくれているかのような鋭く力強い声だった。令和7年作。