梅雨寒は雨が降り続く梅雨の時期に一時的に気温が下がり、肌寒く感じられること。
掲句はかつて通勤者だった頃の、日比谷公園での作品。改めて調べてみると、日比谷公園の鶴の噴水が作られたのは明治38年頃で、公園等での装飾用噴水としては、日本で3番目に古いものだという。池の真ん中に、銅製の鶴が翼を広げたまま水を噴き上げている様は、昼休みの散歩の時などに度々目にした。その日は梅雨寒の小雨が降る中、傘をさしてしばらく眺めていた記憶がある。雨空へ嘴を向けて立っている銅製の鶴に梅雨寒を感じたことが、この句ができた契機。平成5年作。『河岸段丘』所収。