「秩父夜祭」は秩父神社の例大祭。「秩父祭」ともいい、京都の祇園祭、飛騨高山の高山祭と並んで、日本三大曳山祭の一つ。12月2日の宵宮に続く3日の大祭では、神社からお旅所へと神輿の渡御が行われる。絢爛豪華な屋台がお旅所下の急坂を次々と曳き上げられる場面は、この祭りのクライマックス。
掲句は、宵宮の際、秩父神社拝殿に奉納されていた秋繭の大袋や酒樽、薪(まき)の束などを目にしての作品。特に山積みの薪の束を見たとき、秩父盆地の夜の冷え込みの厳しさを思った。昼間は晴れて日差しの温かみが感じられても、日没とともに急に寒さが身に迫ってくるのが、秩父の冬だ。平成8年作。『河岸段丘』所収。