マフラーの結び目に顎のせて読む

「マフラー」「襟巻」はいずれも、冬、首に巻いて寒さを防ぐもの。毛織物、絹、毛皮などで作られる。「マフラー」は「襟巻」の傍題だが、「マフラー」の方が近代的な語感がある。

掲句は電車内で本を読んでいる自分自身を思い浮かべての作品。マフラーは、前にだらりと垂れ下がらないように、普段は緩く結んでいることが多い。顎の下にマフラーの温もりを感じながら、本の世界に浸るのは、忙しない通勤途中の至福のひと時だった。平成17年作。『春霙』所収。

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